”大腸がん新個別化治療プロジェクト”は先端医療研究開発機構(iACT)流動プロジェクトの一つとして2019年10月 1日に発足しました。
大腸がんの治療成績は手術手技や化学療法の進歩によって年々改善していますが、遠隔臓器に転移した場合の予後は未だ不良です。化学療法は個々の患者さんごとに最適な抗がん剤(レジメン)を選択することが理想ですが、従来の診断で得られる情報からその効果を正確に予測することは困難です。私たちはこれまでに、手術で摘出した大腸がん組織からスフェロイドと呼ばれるがん細胞の塊を培養する技術を開発しました(スフェロイド培養)。この大腸がんスフェロイドに様々な抗がん剤を作用させ、効果のあったものを選択して患者さんに投与することで化学療法の成績が向上すると期待されています。また、効かないと予想される薬の投与を避けることにより、患者さんの身体的、経済的な負担を軽減することができます。
本プロジェクトは、スフェロイド培養を使った大腸がん個別化診断法の臨床開発を通して転移性大腸がんの治療成績を向上させ、進行性がんの患者さんの福祉に貢献することを目標としています。